フィンランドの教育学系大学院に正規留学中のきなこです。
2024年4月から、フィンランドからの交換留学生として、南ドイツバイエルン州にあるUniversity of Regensburgという大学で勉強しています。
この話を日本の友人に話すと、みんな口を揃えて「どういうこと?」と言います。
ちょっと意味がわからない……
フィンランド留学中のドイツ留学…
確かに日本では馴染みがありませんよね。
でも欧州では各国間の学術交流が盛んで、EU内の正規学生であれば留学生であっても交換留学に行くチャンスを得ることができます。
本記事では、フィンランドの大学院に子連れ留学をしている私が、ドイツに交換留学にやってきた理由についてお伝えします。
書いている人
- フィンランドの教育系大学院に子連れ留学中の2児の母
- 元小学校教員
- エラスムス+制度を利用し、2024年春はドイツのUniversity of Regensburgに留学
- 研究テーマは子どもの遊び環境
Kinaco
ダブル・ディグリー・プログラム
私の正規留学先であるプログラムの中に、ダブル・ディグリー・プログラムというものがあります。
2年間のうち1セメスターのみドイツで学習することにより、フィンランドとドイツの両方の大学から修士号をいただけるというなんともオトクなプログラム。
私は出願時にこのダブル・ディグリーに申し込み合格したため、現在はそのプログラムの一環としてドイツで勉強しています。
基本的にフィンランドにいる間は通常の修士課程で勉強するコースメイトと同じ課程で勉強しています。
もちろんこのドイツでのセメスターが終われば、フィンランドに帰り、残りの一年をみんなと一緒に勉強します。
このプログラムは、欧州間の学術交流を促進するエラスムス・プログラムの一貫であるため、そこから多少の滞在費用の補助が出ます。
フィンランドに来て説明を聞くまで、エラスムスの一環であることを知らず、自費で賄う予定だったので、とっても助かりました。
エラスムス・プログラムについてはこちらの記事も参考にしてくださいね。
ドイツとオランダの先生たちとランチをしていたときのこと
ところでダブル・ディグリーってアカデミックタイトルはどうなるの?
MAMA(ママ)じゃない?笑(マスターが2つだから)
というヨーロピアンジョークがあったことを、ここに報告しておきます。
家族はフィンランドに残ることになった
さて、このブログは「フィンランド子連れ大学院留学」と銘打っているわけですが、今回のドイツ留学に当たり、わたしたち家族は母親であるわたしだけの単身留学にすることに決めました。
よって2024年の春夏だけは「フィンランド子連れ大学院留学一時休止、ドイツ単身留学記」が正しいタイトルかもしれません。
これを決断するまでには大きな葛藤があり、何度も家族会議を開きました。
色々な理由はありますが、一番は子どもたちのフィンランドでの学校生活を一年きちんと終了させたかった、ということになります。
もちろんドイツに一緒にやってくるという選択肢も考えましたが、日本の友だちと別れ、ようやく慣れたフィンランドの学校生活をまた途中で切り上げるというのは避けたかったのです。
母親が不在になる弊害はもちろん考えましたが、子どもたちは二人ともすでに小学生。
しばらくの間さみしい思いをさせてしまいますが、できないことはなさそうでした。
幸いにも夫は家事も子育ても任せられる人。
フィンランド滞在中に親しくなった友人たちも、なにかあればサポートするよと暖かく声をかけてくれて、最終的に単身留学の覚悟を決めたのでした。
幸いフィンランドは6月から夏休みに入ります。
ドイツ旅行も兼ねて、こちらにやってくることになっています。
なぜドイツなの?
これはドイツの大学の友だちにもとてもよく聞かれる質問です。
私の場合は、
Home universityのプログラムで留学先が決まっていたからなんだよね〜
が一つの答えではあるのですが、わざわざダブル・ディグリー・プログラムを選んだのには一言では言い切れない理由がもちろんあります。
ドイツは留学先の候補でもあった
私は大学院留学先としてフィンランドを選びましたが、実はドイツも候補に含まれていました。
フィンランド以外ではオランダ・ドイツ・イギリス・デンマークが候補でした。
うちの大学のコースに出願する際に、ドイツへも行けるプログラムがあるということを知り、まさに自分のためのプログラムだと思いました。
大学院での研究テーマ「子どもの遊び環境」に関してドイツはとても有名
私の研究テーマは子どもの自由な遊び環境ですが、出願時に候補に上がっていた5カ国はすべて子どもの教育・遊び環境において注目すべき国々です。
とくに私のいる南ドイツの中心であるミュンヘンは、子どもの遊びの活動が大変盛んなのです。
子どもの街としてとても有名なミニミュンヘンは、学部生のころから見に来たかった活動。
かれこれ20年近く、いつかは訪ねたいと思っていました。
まさかこの南ドイツで勉強する機会を得られるなんて、わたしにとっては願ってもいないプログラムでした。
まるで私のために用意されたようなプログラムだと思いました
チャンスは掴んでおかないと後悔する
とは言え、子どもを連れてフィンランドへ行くだけでも大きな決断。
さらにドイツへ行くチャンスが得られたとしても、それが実行可能かは出願時点では全く未知でした。
でも夫とよく相談し、最終的にはダブルディグリーに出願することに決めたのです。
そのときに二人で話していたのは
「出願しておかないと後で後悔する」ということでした。
ダブル・ディグリー・プログラムに応募したとして、そこに通るかはわかりません。
ドイツに行けるかはまったく不明な上、そもそもフィンランドの大学院に合格するかもわかりません。
わたしの大学では、ダブル・ディグリーの方が狭き門ではありますが、そこに通らなくても通常プログラムに入る可能性は残っていました。
もし、ダブル・ディグリーへの出願を諦め通常プログラムに通ったとしたら、ダブル・ディグリーに合格した友だちを横目で見ながら、なぜ自分は挑戦しなかったのだろうと後悔することでしょう。
ダブル・ディグリーに合格しなくても、挑戦さえしておけば、自分の力不足だったということで諦めがつくというものです。
同じ「ドイツには行けない」ということになったとしても、挑戦してだめだった場合と、挑戦すらしなかった場合では、その後の納得感に大きく影響します。
夫と「もし合格することができたら、そのときに考えよう」と決め、とりあえず挑戦することにしたのです。
ただその後、無事にフィンランドの大学院に合格し、ドイツへも行けることが決まったときは、正直どうしたらいいんだろうと困惑したのは言うまでもありません。
ダブル・ディグリーを選んで良かったか
この答えについては明確にYESと答えます。
もちろんすごく大変です。
単身生活をしたら、勉強時間をもっと取れるかもしれないと思いましたが、意外とそうでもなく……
やらなきゃいけないことは相変わらず多いし、アラフォーの体力がいきなり長時間の勉強に耐えられるようになるわけでもないし、家族と離れている分ストレスを感じることもとても増えました。
でもそれでもここへ来てよかったと感じています。
動かなければ経験できなかったことを、フィンランドに来てからもドイツに来てからもすごく得られています。
また、一緒にフィンランドから来た友だちとは、ただのコースメート以上に一緒に冒険をした仲間で、お互いにすごく信頼しています。
何より、新しい環境、新しい人間関係で学べているということが、すごく自信になりました。
ただし、フィンランドで過ごせる貴重な2年間のうち、最もよい季節である春夏を見逃してしまうことだけはとても残念。
フィンランドの春は一気に芽吹き、感動的なんだそうです
5月のフィンランドの学生のお祭りであるvappuも今年はお預け。
来年のお楽しみにとっておきます。
新しいことに挑戦するときは、いつも不安との戦いです。
でも、やってみたい気持ちを無視せずに挑戦してみたら、意外と道が見つかったりします。
アラフォーママの単身ドイツ留学生活は引き続き更新していきますね。
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